今回はここ一月ほどデッキリストを眺めたり構築したり大会に出たりして、フロンティアについて語りたいなーと思ったことを「フロンティア環境考察」としてまとめようとしてみました。

結果として出来上がったのは強そうなデッキ紹介記事ですが、多少なりとも「フロンティアにはこういうデッキがあるのか」という雰囲気を感じ取る材料になれば幸いです。
ただ、あくまでも自分が感じた内容ですので、信頼度や理解度に関しては御容赦ください。


0.お品書き

・四色《先祖の結集》コンボ
・ジェスカイウィンズ
・アブザンアグロ
・グリクシスコントロール


1.前置き
フロンティアでは個々人のデッキ構築思想に大きな差があります。
極端な話、75枚旧スタンそのままという方や、フロンティアでしか出来ないコンボ、デッキを組むために参戦したという方もいらっしゃいます。
むしろ勝つためにデッキを組む方が少数派かな、と思っているほどです。しかし私個人としては目指すは大会優勝。そしてフロンティア構築が普及すると良いなあ、と考えながらこの文章を書いてます。
ですので、下のデッキ使ったけど勝てん、というのはご勘弁下さい。地域や環境の変化に応じたカスタマイズが必要なのかもしれません。
とはいえある程度以上は「雑に強い」デッキを意識して選んでいます。


2.四色《先祖の結集》コンボ

所謂「ラリー」ですね。
サンプルレシピはこちら。
http://www.hareruyamtg.com/jp/k/kD19165S/

基本的な挙動を挙げます。
2t:《サテュロスの道探し》or《ヴリンの神童、ジェイス》

3t:3マナクリーチャー(特に《呪文捕らえ》や《ナントゥーコの鞘虫》)

4t:《集合した中隊》。この時点で《反射魔導師》や《呪文捕らえ》を用いて、盤面を優勢以上に持って行く。

鞘虫によるビートダウン、ジェイスによるカンパニーの再利用などで戦線を有利〜膠着状態に維持しながら墓地を肥やす。

そのまま勝つor盤面を取り返そうとした相手のビッグアクションに合わせて《先祖の結集》で勝つ

このデッキの強みは大きく分けて2つ。
「圧倒的なメイン勝率」と「他の追随を許さないマナトラブルの少なさ」です。

メインから墓地対策を取っているデッキというのは少なく、ロングゲームになればいつかは《先祖の結集》が飛んで来る関係上、基本的には速攻で勝負をつけられないとラリーには勝てません。
とはいえ《反射魔導師》や《呪文捕らえ》によるゲームスピードの低速化、《ズーラポートの殺し屋》によるライフゲインと、高速デッキでもなかなかメイン戦でラリーに勝てるとは言い切れない恐ろしさがあります。

また、四色なのにマナトラブルが少ない点ですが、これはスタンダード時代には無かった新戦力である《サテュロスの道探し》が大きく影響しています。
体感ですが、4マナに到達せず負けるゲームというのがほぼ無くなったように感じます。色事故も減りました。

そして何より伝えたいラリーの本質。

これは「《集合した中隊》による盤面制圧デッキ」であるということ。

《先祖の結集》ではなく、あくまでもカンパニーデッキ。
サイド後、《トーモッドの墓所》を置きながらも《集合した中隊》からの《ナントゥーコの鞘虫》や《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》に殴り倒された経験はありますか?
もちろん墓地を意識されているからこそ、ラリー側はそういったサイド後の工夫を用いています。しかしあくまでも、《集合した中隊》に依存した盤面の掌握こそが真に警戒すべきラリーの勝ち筋。

以上より、メイン戦で負けようが無く、サイド後にカンパニーを処理されてもPW一枚で勝ててしまうようなコントロールや、対策の上からでもラリーを間に合わせられるミッドレンジ相手を得意としています。

もちろん弱点もあります。
アタルカレッドや後述するジェスカイウィンズ、アブザンアグロなどが苦手ですね。
新カードでは《霊廟の放浪者》・《密輸人の回転翼機》・《異端聖戦士、サリア》が特に苦手です。
1マナかつカンパニー・ラリーに干渉する飛行クロック。ソーサリー除去の効かない飛行3点クロック。タップインで減速、チャンプブロックを許さない先制持ちアタッカー。
これら高速アグロ相手だとカンパニーを撃った次のターンには死んでいた、なんて事も珍しくありません。

この四色《先祖の結集》コンボ、フロンティア界屈指のデッキパワーを持つのは間違いありません。しかしそれ以上に大勢から意識され、対策させている事実があります。
良くも悪くもフロンティアをプレイする以上、このデッキから逃れる事は出来ません。


3.ジェスカイウィンズ

フロンティアチャレンジカップ優勝デッキです。
サンプルレシピはこちら。
http://www.hareruyamtg.com/article/sp/category/detail/3477

基本的な挙動を挙げます。

1t:《霊廟の放浪者》

2t:《無私の霊魂》or《密輸人の回転翼機》

3t:《カマキリの乗り手》or《反射魔導師》or《呪文捕らえ》

これら超優秀飛行クロックでライフを削り、《稲妻の一撃》か《ジェスカイの魔除け》で詰める。
ファストランド、ダメージランドで組まれたマナベースによって高い安定性と毎ターンのアンタップインが保証されています。

何よりもこのデッキが厄介なのは、理想的に回った場合、相手の動きを全て封殺した上で空から殴り殺す事が出来る事。

ソーサリー全体除去は《無私の霊魂》、《密輸人の回転翼機》がケア。
かといって軽量除去を構えれば《呪文捕らえ》が待っています。《密輸人の回転翼機》と同時に《カマキリの乗り手》が走って来るのも厳しいですね。
しかもこれらは全て《霊廟の放浪者》の監視下にあるのです。
ではこちらも飛行ブロッカーを用意すれば?
そういったソーサリーアクションには《反射魔導師》・《呪文捕らえ》・《ジェスカイの魔除け》の全てが突き刺さります。

気付けば飛行集団による止めようが無いクロックパーミッションの手の内。とんでもない破壊力です。
飛行ビートダウンと妨害の高度な両立は「アグロに強いアグロ」の完成形と言っても過言ではありません。

更にこのデッキ、恐らくはコントロール耐性も決して低くはないでしょう。
カウンターとPW、何より《呪文捕らえ》と直接火力はとても強力なコントロール殺しの手段です。

では、ジェスカイウィンズは弱点の無い最強のデッキなのでしょうか?
いえいえそんなことはありません。

・《焦熱の衝動》、《残忍な切断》
これらは《呪文捕らえ》に対し強力に作用します。3マナの疑似カウンターを1マナで処理するのは大きなテンポ有利を生み、しかも後者は《呪文捕らえ》の適用外です。

・《雷破の執政》、《ピア・ナラーとキラン・ナラー》
端的に言えば《呪文捕らえ》を掻い潜ってこれらを通す事で、一枚で盤面を掌握することが出来ます。真っ当な除去呪文を持たないジェスカイウィンズは大きく減速し、多くのライフを維持したままロングゲームに持ち込めば勝利は難しく無いでしょう。

・《最後の望み、リリアナ》
《霊廟の放浪者》・《無私の霊魂》を無力化し、本命の《密輸人の回転翼機》・《カマキリの乗り手》に除去を打ち込めるようになります。また疑似的なライフゲインにもなり、彼女の早期着地は勝利に等しいと言えます。

デッキ的な有利不利ではなく細かなキラーカードの羅列に終始したのは、このデッキがそれだけ強力と言う事です。
上記したカードが複数投入されていたとしても、安定してジェスカイウィンズに勝てるかというと決してそんなことはありません。
微不利程度は存在しても、大幅不利が見当たらない。噛み合えば不利な相手でも全てを跳ね返して勝てる。

それがジェスカイウィンズ。

ラリーに圧倒的に強いというのも付け加えておきます。


4.アブザンアグロ

《包囲サイ》、未だ健在。
サンプルレシピはこちら。
http://www.hareruyamtg.com/jp/k/kD05269W/

皆様よくご存知のアブザンアグロとは少し毛色の違った物を選んでみました。《エルフの神秘家》による加速を重視したタイプです。

基本的には1マナ、3マナ、4マナのアクションを意識して構築されています。
しかし、例えば《始まりの木の管理人》はマナの分割払いによって《密輸人の回転翼機》とのダブルアクションや3マナ枠としてのカウントが可能です。
《不屈の追跡者》は4マナ枠扱いする事でキャントリップの様に運用したいところですが、手札次第では3マナアクションとして使っても良いでしょう。

柔軟にマナカーブを選択し、最速の場合は2アナフェンザから3サイというぶん回りも可能なこのデッキ。
惜しむらくはソーサリーアクションに《呪文捕らえ》が厳しく突き刺さる点でしょうか。
《潰瘍化》や《残忍な切断》といったオプションも選択肢に入るでしょう。


5.グリクシスコントロール

コンボ、アグロと来たらコントロールも1つくらいは。
サンプルレシピとデッキテクはこちら。
http://yuyu-tei.jp/blog/mtg/news.php?d=2016/11/blood_dimir_by

フロンティアにおいて最も高いカードバリューを誇る組み合わせであろう《時を越えた探索》と《奔流の機械巨人》。
それでは、このコンビを使って組み上げる75枚の最適解とは何でしょうか。
その答えは未だハッキリとはしていませんが、このデッキはそれに近い物を提示しているのではないかとも感じています。

詳しい解説はしませんが、個人的には《焦熱の衝動》を取れる赤青タッチ黒の構築も捨て難いかな、とも思います。
とはいえそうすると今度は《最後の望み、リリアナ》の立ち位置が難しくなってしまうのですが。
あちらを立てればこちらが立たず。コントロールの構築は難しいですね。


6.後書き

以上でデッキピックアップは終了です。が、個人的にはまだまだ気になるデッキが山ほどあります。
パンハモニコンエルフ、霊気池、アタルカレッド、赤黒ドラゴン、四色アーティファクト……
しかし今回は「万人にオススメしたい強力デッキ」というコンセプトがありまして、上記の四つは環境を形作ってもおかしくないような超強力レシピだと思っています。

とはいえフロンティアのカードプールには間違いなく未だ見ぬ可能性が眠っているとも考えているので、そういうレシピと巡り合う日を楽しみにしています。(自分でも構想は練っていますが)

この記事を読んで「フロンティアしてみようかな」と一人にでも思ってもらえれば幸いです。
ありがとうございました。

コメント

ぶてぃ
ぶてぃ
2016年12月19日20:08

コンボにクロパにコントロールに王道アグロと、なかなか楽しそうなラインナップですね。どのデッキもまだ研究段階でこれからという印象も受けました。スタンダードは見ているだけで閉塞感を感じましたが、フロンティアはまだまだ開かれていない扉がありそうですね。

ワカミ
2016年12月19日23:57

>ぶてぃさん
コメントありがとうございます。
フロンティアはまだ始まったばかりで、玉石混交どころか宝石の原石と石ころの区別がついているのかどうかすらわかりません。
少なくともこれら四つは自分で試していますので、多少は自信を持ってお勧めできると思っています。
四色ジャンクデッキも考えているのですが、広大なカードプールに苦戦している最中です。

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