以前やった奴の焼き直しではありますが、どうにも環境が激変してしまい、古い情報だと役に立たないかなと思いまして筆を取りました。
改めますと、自分がフロンティアで強いなーと感じたデッキを紹介します。


0.お品書き

・アブザン鱗アグロ
・URxアーティファクトアグロ
・ダークジェスカイ
・霊気池の脅威


1.環境の変化

霊気紛争というセットはフロンティア環境を根本から変えてしまいました。
クリーチャーと除去という両者の天秤。以前はクリーチャー優位だったそれを、一気に五分からやや優位までひっくり返してしまったのです。
そんな偉業を1枚で成し遂げたのがこのカード。

《致命的な一押し/Fatal Push》
使うにせよ使われるにせよ、今やこいつの存在を意識していないデッキはありません。
速槍からコプター、果てはアナフェンザにサイまで、一押しで処理出来ないクリーチャーはほとんどいなかったフロンティア。
そのため搭載歩行機械や屑鉄場のたかり屋などの除去耐性持ち、軍属童の突発などのトークン生成、対象にされない5マナ以上のクリーチャーが流行しそうです。

また、既存のアーキタイプを押し上げるという意味で激しく輝いているカードもあります。

《歩行バリスタ/Walking Ballista
》&《巻きつき蛇/Winding Constrictor》
アブザンアグロを過去の物にしたのがこちら。詳しい解説は後の項に譲りますが、鱗アグロの苦手としていた対トークンや本体火力投射など、細かい動きを補うバリスタの加入は非常に大きいです。

《霊気圏の収集艇/Aethersphere Harvester》
既にアーティファクトアグロで使用されていますが、こいつはもっと広く使われうると思っています。例えばアタルカレッドのサイドボード等で採用される可能性を秘めているんじゃないかと。
アグロ同型において、トークンを載せるだけで3/5飛行絆魂になるというのはあまりにも大きい。機体という変化球は、利用し易さに対して対処され辛い点が優れているように感じます。


2.アブザン鱗アグロ

アグロデッキの急先鋒。
対戦し、自分でも使用した結果の感想として『万能』の二文字を得ました。

サンプルレシピ
http://www.hareruyamtg.com/jp/k/kD06771W/

エルフの神秘家による急展開。
歩行バリスタによる柔軟なクリーチャー戦。
搭載歩行機械の盤面制圧力。
ニッサという即効性・持久力の高い優秀なPW。
これらの単独でも立派なカード達が、8枚体制の鱗蛇で2倍、3倍の破壊力を発揮する気持ち良さは素晴らしいの一言。

多角的ながら似た役割のカードを積み、マナカーブも低めに抑えているため、安定した攻撃をするデッキです。
デッキの基本的な動きはこちら。

鱗・蛇を展開

ハンガーやバリスタ、ハイドラやアナフェンザ等の主力を展開

ドロコマやニッサを絡めて攻める

霊気紛争以前の鱗は、展開速度に対してアドバンテージ力やトークン戦術への耐性の無さ、飛行クロックがどうしようもない等多くの弱点を抱えたデッキでした。
ですが新バージョンではそれらの弱みは大きく抑えられています。
ファストランドによって低リスクで多色化し、サイドボードの選択肢が増加。
金属バリスタはタフ1に対して圧倒的な制圧力を持ちます。
巻き付き蛇は、鱗が生物化したことで「鱗1枚分カードが少ない」という点を解消しつつ、自身にカウンターを載せることが出来ます。これによって本命たるバリスタやハイドラに対する除去を受け止めながら、ニッサ等を強く使えるようになりました。
また根本的ですが、プッシュを使う側のデッキでありながらトークン戦術を狙えるというのは、アグロ同士の対決では大きな優位を産みます。

これは実際にやられた展開。
神秘家→ニッサ+1→鱗+蛇からニッサ-2

私は蛇にプッシュを撃ち込みましたが、結果3/3の神秘家と2/3の植物から5点パンチを受け、ニッサを処理出来ずに負けてしまいました。
このようにアンフェア地味たムーブをしつつ、バリスタやハンガーへ柔軟にマナを注ぐことが出来るのです。

しかしながら新生鱗デッキが全ての弱点を克服したかというと、決してそうではありません。
浮き彫りになったのは対コントロールです。むしろ対アグロという面で非常に高い評価が出来るのに、コントロール相手の相性はほとんど変わらないどころか、一方的に一押しを使われる以上、悪化したと言えるでしょう。

軽量除去と全体除去。
永遠の矛盾ですが、クリーチャー主体のアグロである限りこれを躱す術は基本的に無いのです。
況してやこの世界のコントロールと言えばあの時を越えた探索。
戦えばわかりますが、「ラスを持っていなければ」「ニッサを守りきれば」「搭載歩行機械を割られなければ」などの仮定は基本的に無意味。生半可なドローやPWでこれに対抗する術は無く、速攻も無ければ火力もバリスタのみでは限界があります。
ドロコマやプッシュが腐るメインだけでなく、サイド後も厳しい戦いになるでしょう。

エルフの神秘家を有効に使えるアグロデッキというのはその時点で強いです。強力な3マナを叩きつけたり、ニッサでカウンターを乗せたり。
ただ、やはり構成上フラッド受けが少ないのが気になります。
ニッサや搭載歩行機械以外のクリーチャーに除去を連打されると何も残りません。
決まれば理不尽な展開が可能ですが、カンパニー1枚でそれを達成するカンパニー系デッキとの差別化や優位の形成も課題かと思います。


3.赤青xアーティファクトアグロ

アーティファクトの魂込め・爆片破といった優秀なスペルに、カラデシュから参戦した機体という要素を加えたアグロデッキです。

サンプルレシピ
http://www.hareruyamtg.com/jp/k/kD04590K/

霊気紛争で強化された部分と言えばマナベース。(サンプルは2色ですが、これはチームフロンティアを前提にしているため)
産業の塔という5色地形の存在は大きく、4色デッキすら有りだと考えています。また霊気圏の収集艇によるエネルギー供給から、霊気拠点の採用もあるのではないでしょうか。

飛行機械技師・ナラー夫妻という優秀な乗り手らが、密輸人の飛行機械・霊気圏の収集艇という搭乗1コンビの機体に乗り込む。なんと機体に直接魂を込めても良いという驚異のメカニズム。
ナラー夫妻はトークン生成という仕事を即座にするのに、マナさえあればほぼ無料で2点を生み出すため放置出来ないという、恐ろしいパワーカードです。
また個人的に評価しているのが金属の叱責。
幽霊火の刃や飛行機械トークン、手がかり等、スタンダードと違い余りにも容易く構えられるこのカード。ハサミへの除去を一度弾くだけで、大きくテンポロスした相手のライフは消し飛ぶでしょう。

肝心のデッキ相性は低高速・低速に強く中速に弱いです。
撹乱的アグロという点ではアタルカレッドに並んでコンボデッキにも強いでしょう。
コントロールへの耐性はトークンと機体、本体火力という多様さが非常に受けづらく、悪くないです。
サイド後には飛行機械の諜報網やチャンドラ等の置物とカウンターの追加でかなり戦えます。そもそも、相手の色によっては、ダークスティールの城塞にハサミがついただけでゲームが終わるかもしれません。

逆に厳しいのは、アブザン鱗やバントカンパニーです。
というよりはドロモカの命令・歩行バリスタ・反射魔導師と言い換えても良いんじゃないでしょうか。
自分より展開力の勝る相手がドロコマなどの軽量スペルで2:1交換を迫って来ると、一撃は重いですが通常の展開力しかないアーティファクト側はテンポ差を巻き返せなくなります。

フロンティアでは極一部を除いてあまり強くない青ですが、このデッキしか使えないアーティファクトの魂込めを抱えているという強み。サイドボード後、カウンターの活用次第で他のアグロデッキとの差別化ができそうです。


4.ダークジェスカイ

グリクシスやエスパーの重コントロールとは違い、速いターンでの青青の捻出(打ち消し呪文)を諦めた4色のボードコントロールがこちら。

サンプルレシピ
http://www.hareruyamtg.com/jp/k/kD06704W/

多色化の恩恵として、はじける破滅やコラガンの命令などの多様なスペルやPWを採用できます。
ただし色サポート無しでの多色化のため、黒の除去+青のジェイス・探索という軸で組み上げて事故率を下げました。

勝ちプランは除去で試合をスローダウンさせてからの時を越えた探索。続けて放たれる青巨人によって他の追随を許さぬアドバンテージを稼ぎます。
その性質上、クリーチャーで攻め立てるデッキには無類の強さを発揮します。また重コントロール相手にもアド負けせずに脅威を出し続けることで戦えるようになっています。
一方で霊気池やラリーなどのコンボ的な相手には打ち消しの不在が重く響き、かなり悪いマッチアップと言えるでしょう。

上で多少触れていますが、一押しによって対アグロ面はかなり改善されています。タルキール時代、脅威の象徴だったアナフェンザ・サイすら薙ぎ払う1マナ除去によって、トークン戦術を擁するアタルカレッド、中隊の展開力を持つバントカンパニー系列以外のアグロデッキは相当に窮屈な思いをしており、かといって青を含まない中〜低速デッキは時を越えた探索の前にひれ伏していると言っても過言ではないです。

とはいえ速いデッキは本当に速いのがフロンティア。
重コントロールでは対応できない速度帯ともやり合え、探索デッキにもアド勝負ができる中間がダークジェスカイです。


5.霊気池の脅威

一枚コンボと名高い霊気池の脅威。
スタンダードと違い、フロンティアでは禁止となったエムラクールだけでなくウギンなどの強烈なフィニッシャーも使用できます。
着地さえすれば、エネルギーを供給するだけで延々と最重量級のパンチを叩きつけることができる素晴らしいカードです。そのエネルギーも概ね自前(ガチャのハズレ)で回収出来ますしね。

サンプルレシピ
http://www.hareruyamtg.com/jp/k/kD04595K/

ナヤカラーの理由は蓄冷稲妻と燻蒸。しかもガン積み。ボードコントロール気味なカード選択は、アグロ隆盛の現環境を見据えています。
エムラクールの存在によって一部のデッキが詰むのは勿論のこと、コンボデッキにも関わらずラリーに有利がつく点などは見逃せません。
クリーチャー主体のデッキには4tウギンでイージーウィン可能。

一方で青を絡めたアグロデッキ、例えばアーティファクトアグロなんかはメインからサイドまで厳しいでしょう。コプターなどのクロックを立てつつカウンターを構えられればなす術無くやられかねません。
また、置物を投げつけ続ける関係上、重コントロール相手も相性が良いとは言えないでしょう。ハンデス・カウンター連打から探索まで繋げられてしまうのが典型的な負けパターンですが、カラーの関係からそれを避けられるアクションが無く、相手の初手と自分の引きに依存した試合になりがち。
とはいえコントロール側も決してメインから霊気池を警戒しているわけではなく、ボードコントロール主体で打ち消しをほとんどとっていない場合は相性が逆転します。クロックが遅いくせに霊気池が通るので、ウギンの1枚でも突きつければゲームセットです。

デッキとしての安定性が高く、霊気池に依存してはいますが発生の器などのサーチがあり、フィニッシャーらも素出しが不可能ではないマナ域。
コジレックの帰還・燻蒸・ウギンという強烈な全体除去でクリーチャーを否定する戦略と、霊気池から湧き出る汲めども尽きぬアドバンテージ。
カラーの選択や細かいスロットの調整など、これからの発展が注目のデッキです。


6.後書き

如何だったでしょうか、これにてデッキ紹介は終了です。

霊気紛争の参戦によって激変した環境、その中心にいるのはやはり《致命的な一押し/Fatal Push》。良くも悪くもこのカードを避けて通ることは出来ません。
一度リセットされたと言っても良いフロンティアで、新たに主役となるのはどんなデッキなのでしょうか。

ここまで長い文章を読んで下さった方にも、是非挑戦してもらえたら良いなと思っています。
ありがとうございました。


チームフロンティア頑張るぞ〜〜

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