【フロンティア】ティムール霊気池【デッキガイド】
2018年9月27日 Magic: The Gathering0.前書き
今回は第11期フロンティア神挑戦者決定戦で優勝した「ティムール霊気池」について解説したいと思います。
先日「ラヴニカのギルド」からショックランド再録の報がもたらされ、フロンティア界隈に激震が走りました。
これは《密輸人の回転翼機》以来の衝撃で、新弾の発売に伴い、フロンティア環境は全くの白紙となるでしょう。
しかし、過去に活躍したデッキのコンセプトや戦略までもが無意味になってしまうわけではありません。
それを文章として残すために筆を取りました。
なお、本記事はデッキ製作者である友人に協力してもらっています。
この場を借りて感謝を。いつもありがとう。
これさえ読めば、あなたも霊気池マスター!
1.デッキコンセプト
当時トップメタであったジェスカイアグロと青黒コントロールに有利を付けるためのデッキで、前者には《墓後家蜘蛛、イシュカナ》、後者には《約束された終末、エムラクール》によって勝利します。
また、その他のデッキには《霊気池の驚異》が強く働きます。
フロンティアに多く存在する非青のアグロ・ミッドレンジ・コンボでは、4ターン目の《約束された終末、エムラクール》と《精霊龍、ウギン》の踏み倒しや、霊気池がもたらすアクション数・アドバンテージ量に対応できません。
トップメタからは対応されやすくあまり効果的でない《霊気池の驚異》ですが、相手は常にこちらの4マナアクションを警戒せねばならず、本命であるフィニッシャー素出しまでの時間を稼ぐことが出来るのです。
それではデッキリストを掲載してから、採用カードやマリガンについて話していきます。
2.デッキリスト
2-1.採用カードについて
・メインボード編
《霊気との調和》《ならず者の精製屋》
エネルギー供給の根幹を担うスタン禁止カード。
手札を消費することなくエネルギーを蓄える霊気池の土台であり、これら無しに《霊気拠点》や《蓄霊稲妻》を運用するのは難しいでしょう。
ならず者はキープ基準でもあり、能動的アクションの基軸となってくれます。
《蓄霊稲妻》
赤い《破滅の刃》とは良く言ったもので、エネルギーを注げば巨大なクリーチャーにも対処出来ます。
小粒を対処する際に副産物としてエネルギーを産んだり、エネルギーが足りなければ3つ全てを供給に回すことも可能で、腐りにくく非常に強力なカード。
《厳粛》や《陽光浄化者》にとても弱いのはご愛嬌。
《削剥》
赤い《突然の衰微》。
フロンティアにおけるアグロのほぼ全てが使用していると言っても過言ではない《密輸人の回転翼機》を、隙なく叩き割る仕事人。
通常の3点火力としての前提を踏まえつつも、エンチャントに比べて強力な物が多いアーティファクト対策にもなるのは重要。
《織木師の組細工》
2マナ域かつ分割5マナで6エネルギー・6ライフを生み出す優秀なライフゲイン。
ただし、その他のエネルギー供給源と違って手札を消費しているため、霊気池に繋がらないと枚数差で押されがち。
メイン戦のブン回りや対アグロで重要な役割を担う、キープ基準のカード。
《霊気池の驚異》
一枚コンボかつ、アドバンテージ源かつ、フィニッシャーである驚異的なカード。
仮に4ターン目に着地したとしても、即起動するかどうかの選択肢は複雑。
昂揚していない場合はイシュカナが当たりではなくなってしまうため、相手の速度次第では1ターン待って、昂揚してから起動するのが定石。
自分メイン・相手コンバット・相手エンドと三種類の起動タイミングがあり、イシュカナ・エムラクール・ウギン・除去など、様々な可能性と裏目が存在する。扱いが非常に難しい。
《発生の器》
昂揚を一手に担う、強力な墓地肥やし。
パーマネントなら何でも手札に加えられるため、キャントリップにしては少々重めの分割3マナも許容範囲。
自身がエンチャントであるのも手伝って、起動すれば概ね昂揚します。
その真価はアズカンタの探索と組み合わせたときに発揮され、4ターン目アズカンタ変身からイシュカナを着地させる動きには脱帽。
《アズカンタの探索》
何故か青い《不屈の自然》。
フロンティアにはそもそもランパンが存在しないという前提があるわけですが、それにしたって表面で昂揚に貢献しつつ裏面でアド稼ぐわマナ出すわ。伝説だからなのかやりたい放題。
このデッキでは起動型能力よりも1マナ加速することが非常に重要で、変身すればイシュカナ・エムラクールを1ターン速く叩きつけることが出来ます。
もちろん能力が弱いわけではなく、霊気池・組細工を手札に加えては投げることでアドとライフは無尽蔵。普通に除去を探したり、ウルヴェンワルド横断や発生の器からフィニッシャーサーチまでこなす。
アグロ相手に4マナ起動は重いですが、中速〜低速相手なら頼れる影のフィニッシャーですね。
《ウルヴェンワルド横断》
ソーサリーカウントを増やしつつ、マナスクリューとマナフラッドの両方を補います。
昂揚達成後は、神殿のサーチによるマナジャンプからフィニッシャーのサーチまで選択可能。
アズカンタの探索から発見することで、中継のような役割もこなします。
《墓後家蜘蛛、イシュカナ》
フロンティア最強の盾。
『5マナ、タフ5、EtB能力を持つ』というのはフロンティアにおける強固な除去耐性です。
すなわちプッシュされず、火力で落ちず、反射されてもあまり困らないということ。
3/5到達+1/2到達3匹が並ぶ盤面制圧力は筆舌に尽し難く、7マナの起動型能力は意外と勝利に貢献します。
エムラクールとは互いに補い合う関係。
イシュカナだけでは盤面が膠着するだけで突破出来ない。エムラだけでは相手のクリーチャーを1体しか潰せない。
両者が揃ってこそ、相手の盤面を壊滅させる事が可能になるのです。
《コジレックの帰還》
墓地肥やしのお供に。
普通にキャストしてもまあまあですが、やはりその真価は墓地誘発に在り。
エムラクール着地即5点オールは盤面を完全に崩壊させます。とてもすごい。
誘発は任意で解決出来るのもあって、イシュカナが居て盤面が優勢なら温存も可能。文句ナシ。
《約束された終末、エムラクール》
フロンティア最強の矛。
このデッキにおいては概ね7マナ程度のため、7/13/13飛行・トランプル・プロテクション(インスタント)とかいう恵まれたマナレシオで相手を撲殺してくれます。何故か相手の手札と盤面を蹂躙するオマケ付き。
フロンティアでは堅い除去耐性でブイブイ言わせてますが、基本的に終着点としてはエムラしか用意していないため、難しくとも着実に除去されると先細りは必至。
弱点はプレインズウォーカーです。
コントロール奪取中に処理することが出来ず、ターンが返って来た後も一体ずつ倒さなければいけません。
《試練に臨むギデオン》・《先駆ける者、ナヒリ》・《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》・《ドミナリアの英雄、テフェリー》などなど。
他にもエンチャ除去や布告、横並び補助系など、何だかんだで苦手とするカードは存在します。
とはいえ、それら全てを粉砕するのが4ターン目霊気池からのエムラクール。
6ターン目以降はいつ引いても良いように準備しておきましょう。
《精霊龍、ウギン》
エムラクールと対を成す全体除去的なプレインズウォーカー。
とはいえフロンティアでは8マナは重く、そこまで使いたいわけでもありません。
除去耐性に乏しくてカウンターに弱い。サイドアウトすることが非常に多いです。
一方でエムラクールの弱点である対PWは完璧と言ってもよく、霊気池の当たりとしては十二分の性能です。
無色のカードは吹き飛ばせないため、機体などには注意。
・サイドボード編
《不屈の追跡者》
フロンティアで一番カード引いてる男。最近テフェリーとかいうやべー奴も現れましたが、古参のこちらの方がまだ多いか。
トラッカーが強力な背景として、フロンティアのハンデスは《強迫》が最強です。カウンターは諸説ありますが、《中略》・《否認》・《軽蔑的な一撃》と《取り消し》上位互換シリーズでしょうか。
《本質の散乱》は弱いです。《密輸人の回転翼機》か《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を素通しした事があれば言いたいことが伝わるはず。
まあそもそもこちらが霊気池である以上、相手が構えたいのは《否認》や《軽蔑的な一撃》。
それらを回避しつつ、フェッチを置けばとりあえずカードを2枚引けるトラッカーは素晴らしいカードです。
そして彼の活躍は対青黒コンに限りません。
ハンデス飛んできそうだな、と思えば入れて良し。相手除去少ないな、と思えば入れて良し。ミラーなら入れて良し。
極端な話、トラッカーは生き残った瞬間ゲームが終わるんです。実質4キル。
コイツで攻めてイシュカナで守れば大抵の相手に勝てます。
他にも《反射魔道士》対策として《ならず者の精製屋》と多少入れ替えておくなんて手法も。反射による封印は、クリーチャーを散らすことで被害を軽減できます。
《奔流の機械巨人》
アーティファクトカウント。
詳しくは6.サイドチェンジの項で後述しますが、このデッキでは霊気池と組細工を頻繁にサイドアウトします。それでも昂揚を達成するためには追加のアーティファクトが必要になるのです。
単純にデカく、瞬速で隙が少なく、このデッキではディグ再利用ほどの活躍はしませんが、腐るほどでもなし。
《世界を壊すもの》
対特殊土地と《帰化》枠とコジリタ誘発枠を兼ねての採用。
青赤《アーティファクトの魂込め》デッキに対しては強力なフィニッシャー。
エムラクールと違って確定7マナのため、コジリタ誘発役と割り切ってのアグロ相手にも悪くはない。
コントロール相手に墓地回収能力を見込んでいたわりに、最近は概ね《ヴラスカの侮辱》で飛んでいくのが難点。
《絶え間ない飢餓、ウラモグ》
《名誉回復》2枚分の役割を背負うエルドラージ。
対PWは元より、ミラーにおいてエムラクールを対処可能なカードがエムラクールとこれしか存在しないというとんでもない話。
勿論ウラモグを何とか出来るカードはウラモグしかないので、出されると土地が減ってウラモグを出し返せず負ける。
《帰化》
フロンティアではエンチャントに触れず負けてしまうことも。
コントロール相手にもサイドインする。
《世界を壊すもの》より小回りが効くため、優先度はこちらの方が高い。
《否認》
青のユーティリティ枠。
《密輸人の回転翼機》やPWをカウンター出来ることもあって、アグロ相手にも非常に優秀。
対コントロールでも6マナから霊気池をネジ込んだり、トラッカーを除去から守ったり、至極真っ当に活躍してくれるでしょう。
《軽蔑的な一撃》
青のユーティリティ枠その2。
《否認》では対処出来ない大型クリーチャーをカウンターしてくれます。
コントロールの《奔流の機械巨人》、ミラーの《エムラクール》など。
このカードの素晴らしいところは、《否認》とカウンター出来る範囲が広く被っているところ。
重めのPWや《時を越えた探索》などもキチンと弾ける優秀さです。
《ムラーサの胎動》
緑色の《コラガンの命令》であり、5枚目の《織木師の組細工》でもある。
アグロにもコントロールにも安心の一枚。
《焼けつく双陽》
サイクリング付き全体3点火力。
マナベース的には《光輝の炎》の方が良いが、環境的には対《呪文捕らえ》の差でこちら。
果敢持ちや《暴れ回るフェロキドン》など、タフネス3を意識したいので、追加のコジリタよりは3点をサイドに取りたい。
《破滅の刻》
破壊不能クリーチャーとPW対策。
メインボードでは処理することのできない《熱烈の神、ハゾレト》や《ダークスティールの城塞》+《アーティファクトの魂込め》、《サヒーリ・ライ》+《守護フェリダー》を一枚で返すことができます。
《没収の曲杖》
汎用墓地対策。
ラリーや魂剥ぎなどの墓地コンボ系は苦手。
コントロールのジェイスや青巨人、探索なども牽制できます。
2-2.非採用カードについて
《つむじ風の巨匠》
《軍族童の突発》や《霊廟の放浪者》へのブロッカー、《アーティファクトの魂込め》や《熱烈の神、ハゾレト》へのチャンプブロッカーとして強力なカードですが、これらのカードを使用するデッキが少ないため不採用に。
《軽蔑的な一撃》に引っかかることのないメタカードなので、環境次第では採用します。
《ヴリンの神童、ジェイス》
対アグロ、対コントロールで優秀。
ですが枚数が必要で枠を圧迫するため不採用。
ティムールカラーではフラッシュバックするスペルに困るのもあります。
黒入り霊気池で《強迫》と共に使用するならよいでしょう。
《炎呼び、チャンドラ》
メインボードのPW枠兼、全体除去。
高い忠誠度と広い盤面干渉能力を持つウギンに対して、チャンドラはその軽さ・クロックの速さ・0能力・無色のトークンに対する耐性が魅力。
ミラーやコントロール相手に強いのも明らかにチャンドラなので、メタ次第ではウギンと入れ替えたり、両方採用することも可能です。
《自然に仕える者、ニッサ》
対ミッドレンジ、コントロールに強いPW。
5枚目の《ならず者の精製屋》枠ですが、アドバンテージ面で優秀。
サイドアウトしがちなウギンに代わるPW枠でもあります。コントロールに勝ちたい方は是非。
《引き裂く流弾》
対サヒーリフェリダーのピンポイントメタ。
一応《呪文捕らえ》にも使えますが、そもそもサヒーリコンボがあまりおらず抜けていきました。
《導路の召使い》
環境とデッキ両方にあっていないため不採用。
《致命的な一押し》・《乱撃斬》・《反射魔道士》でテンポを取られ、《僧院の速槍》をブロックできず、《コジレックの帰還》で巻き込まれていくなど採用するメリットがほぼありません。
そもそも3ターン目に霊気池を唱えたところでイシュカナは昂揚していませんし、エムラクールを手札から唱えるためのマナサポートは《アズカンタの探索》と《見捨てられた神々の神殿》で十分です。
2-3.昂揚について
デッキ内のカードタイプについて見てみます。
4フェッチ
10クリーチャー
8インスタント
6ソーサリー
8アーティファクト
6エンチャント
1プレインズウォーカー
土地については《発生の器》でカバー出来るので、器を起動すれば高い確率で昂揚達成するはず。
エムラクールも安定して7〜8マナでキャスト出来ます。
問題になるのはサイド後ですが、それについては後述。
2-4.マナベースについて
フェッチ+青緑ファスト+青赤ダメラン。
緑:霊気との調和、発生の器(ダブシン)
青:ならず者の精製屋、アズカンタの探索
赤:蓄霊稲妻、削剥、焼け付く双陽(ダブシン)
青マナ赤マナについては常に必要な訳ではなく、霊気拠点からの供給で賄う事も可能です。
しかし発生の器が緑ダブルシンボルを要求し、霊気との調和でマナベースを安定させるデッキである以上、緑16(霊気拠点含む)を下回るというのはお勧めしません。
以前は《シヴの浅瀬》を《尖塔断の運河》にしていましたが、4ターン目以降も出来るだけアンタップインしたい都合上こうなりました。
特殊土地枠である《見捨てられた神々の神殿》は必須。エムラクールやウギンをサポートし、アズカンタ含みのダブルアクションなど様々な局面で貢献します。
次環境では《樹木茂る山麓》から《蒸気孔》を持ってこれるため、更なるマナベースの強化が見込まれています。
3.マリガン基準
シナジーを重視したデッキのため、カードの組み合わせでキープする事が多いです。
とはいえ長期戦を目指すというコンセプトから、マナカーブさえ出来上がっていれば何でもキープ出来るというのも事実。
というわけで、基本的にはスクリュー・フラッドを避けつつきちんとアクションが取れるかどうかで判断しましょう。コンボデッキのように見えて、普通のミッドレンジとあまり差は無いです。
・エネルギーをある程度用意して霊気池に繋げられるか
・そこそこのアクションを取りつつイシュカナに繋げられるか
初手からどちらかの戦略を構想出来るなら、キープに値すると思います。
エムラクールやウギンなどの大型が初手にある場合はワンマリガン相当なので、他の手札で十分マナカーブが整っているなどの理由が無ければマリガンしても大丈夫です。
私はそこまで厳しくマリガンする必要は無いと考えていますが、時には重量級の手札をマリガンする事もあるでしょう。
そんな時はダブマリからでも組細工・霊気池・土地3あれば勝てる、と思えば気が楽になるはず。
絶対キープ
・発生の器(+アズカンタの探索orイシュカナ)
昂揚セット。最速4ターン目に5マナを用意する事も可能です。
・織木師の組細工(+霊気池の驚異)
4ターン目霊気池セット。
霊気池が手札にあっても4ターン目に回せるとは限りませんが、組細工があれば確実にエネルギー6個確保出来ます。つまりキープ基準にすべきは霊気池ではなく組細工ということ。
・ならず者の精製屋
単体でキープ可能。2マナアクションがあれば最高。
エネルギーを伸ばしつつ盤面を作れるので、3ターン目にこれを出せる手札は土地6とかでもなければマリガンしません。
・霊気池の脅威(+エネルギー供給源)
注意すべきは、霊気池しかないのにキープしないこと。
調和、蓄霊稲妻、ならず者、霊気拠点が2枚以上あることが大切です。組細工は6エネ出るので別の話ですが、蓄霊稲妻を3エネルギーとしてしっかり認識するのを忘れないようにしましょう。
4.序盤のアクションについて
「4、5ターン目にどういう着地点を目指すのか」よく考えながら序盤を動くべきです。
手札の中の選択肢から対戦相手毎に異なる正解を探すのは非常に難しいけれど、選んだアクションにデッキが応えてくれた時はとても嬉しくなります。
1ターン目
《発生の器》と《霊気との調和》の二択。
基本的には土地が足りていれば《発生の器》、土地が足りなさそうなら《霊気との調和》。
・《発生の器》を優先すべき時
土地が十分にある。
3ターン目のアクションが手札に無く、2ターン目に起動して《ならず者の精製屋》などを探したい。
《アズカンタの探索》がある。
緑ダブルシンボルが出なさそう。
2マナのアクションが《蓄霊稲妻》などのインスタントなので、器起動と両方構えたい。
・《霊気との調和》を優先すべき時
土地が足りない。
《発生の器》を3ターン目に設置しつつ、起動と2マナインスタントを構えたい。
2ターン目以降のマナカーブがしっかりしており、調和を撃つタイミングが無さそう。
《霊気池の驚異》がある。
2ターン目にソーサリーアクションをする予定がある。
2ターン目
《織木師の組細工》、《アズカンタの探索》、《削剥》や《蓄霊稲妻》、《発生の器》起動など。
最優先は《織木師の組細工》です。
2ターン目に置くことで3ターン目の選択肢を増やしつつ、トップの霊気池を受け入れられるようにするため。
アーティファクトを墓地に送る選択肢が生まれると昂揚も近づくので、基本的には置き得。
逆に組細工を置くべきでないパターンは、4ターン目に霊気池をキャストしても通らない、或いは霊気池の起動を急ぐ必要が無いマッチアップです。
《アズカンタの探索》を優先すべき対コントロール。
《削剥》を構えるべき対ジェスカイウィンズなど。
相手が赤単で手札に2マナのアクションが多くあったとしても、
2ターン目《織木師の組細工》
3ターン目《コジレックの帰還》と組細工起動の二択
4ターン目に《蓄霊稲妻》で盤面を返しつつ、残った2マナで《アズカンタの探索》や《発生の器》の能力で霊気池を探す
というような動きをした方がマナ効率は良かったりします。
アグロ相手に《削剥》を構えるのは問題ありませんが、《蓄霊稲妻》に関しては《密輸人の回転翼機》という最悪の裏目が存在することには注意。
3ターン目
ここからは加速度的に選択肢が増えます。
3マナ必要なものだけでも《ならず者の精製屋》、《コジレックの帰還》、《織木師の組細工》起動、《発生の器》設置から起動など。
それに加えて前述した1マナ+2マナのアクションが存在するため、とても網羅し切れる量ではなく、実践的には柔軟に対応しなければいけません。
どう動けば4ターン目、5ターン目に強い盤面を作れるのか、常に考えておきましょう。
《ならず者の精製屋》
最優秀安定択。
盤面に3/2を追加して、キャントリップでデッキを回転させ、エネルギーを供給。
どんな相手にも一定の効果を発揮するので、迷ったらこれ。場に組細工があったとしてもこちらを優先して大丈夫です。
5エネルギーあれば霊気拠点で6個に出来るので、そのまま霊気池に繋がるパターンが存在します。
《織木師の組細工》起動
これまた安定。
6エネルギーを確定させることで対戦相手に霊気池を強く意識させ、そのあと実際に霊気池を出したり実は持ってなかったりする選択肢。
起動のための3マナはそこそこ重いため、3ターン目などのタイミングで起動しておかないと流れで放置してしまうことも。
《コジレックの帰還》
このカードに限らず火力を構えるという行為全般に言えるのですが、序盤に自分の展開のためにマナを使わないのはそれなりのリスクがあります。
マナとカードをエネルギーに変換して霊気池からぶっ放すというコンボは、最速の4ターン目に行おうとすると、火力を撃つマナ的余裕はほとんどありません(霊気との調和や霊気拠点が複数あれば可能)。
軽い火力の温存は4〜5ターン目のダブルアクションにも寄与します。そのため優先度が低くなりがちですが、このカードには若干特殊な事情も。
それは墓地誘発。
大型エルドラージとともに全体5点の火力をバラ撒くにはこのカードが墓地になければならないので、手札にあった場合はどこかで唱えておかなければいけません。
そういった事情も鑑みて優先順位を決める必要があります。
火力を構える行為の例外は《蓄霊稲妻》。
除去とエネルギーの供給を選べるこのカードなら、「次のターンに霊気池が出てきても起動出来ないから展開を優先しよう」と思った相手に突然の3エネルギーから霊気池をお見舞出来ます。覚えておいて損はないです。
5.Tips
・フェッチランド
序盤からガンガン切るべし。基本土地が枯れてることがあるため。
霊気池下では1エネルギーになることに注意。
サイド後は、昂揚やトラッカーの都合と相談して。
・《霊気拠点》
色マナの都合で後から置くこともあるはずですが、最低限の緑マナだけ確保した状態から先置きすることで、4ターン目に6エネルギーを用意できるパターンがあります。
組細工3エネ・ならず者2エネ・霊気拠点1エネから6エネルギー霊気池のパターンは頻出事態なので意識しておきましょう。
・《ウルヴェンワルド横断》
出来るだけ昂揚してからクリーチャーサーチで使うべし。
後半、見捨てられた神々の神殿を持ってくると1マナ増える。
・《発生の器》
出して即起動するには緑ダブルシンボルを要求してくる。
霊気池下では1エネルギーに。
起動タイミングは手札やアズカンタ、イシュカナと相談して。
・《アズカンタの探索》
表の時は、昂揚を意識してガンガン墓地に送りましょう。
フェッチランドや発生の器を駆使してなるべく最速の反転を狙うべし。4ターン目イシュカナなどのブン回りが存在します。
裏面、残ったマナでアクション出来るならメイン起動もアリ。
・《蓄霊稲妻》
使用するエネルギーを決めるのは効果解決時。
3エネルギーを供給するカードにもなることを忘れないように。
・《墓後家蜘蛛、イシュカナ》
7マナでライフルーズさせる効果は霊気拠点があれば起動出来るため、忘れないように。
・《霊気池の驚異》
6エネルギーが無い場合には、基本的に唱えてはいけません。例外は青黒コントロールがフルタップしている場合くらいです。
起動フェイズについて。
《約束された終末、エムラクール》の能力か、《精霊龍、ウギン》の-Xでなければ勝つことができない場合以外は相手ターンに。その上で、対アグロならコンバット時、対コントロールならエンド時が基本です。
対アグロはダメージを可能な限り減らすため。
対コントロールはこちらのターンになる前にマナを寝かせられるかもしれないため。
余裕があるときやサイド後は、起動した後の状況や当たりの枚数などを考えて起動しなければいけません。
わかりやすい例としては、こちらの手札が強くない場合と、カウンターが自分のデッキに入っている場合の二つです。
前者は外した後に《霊気池の驚異》を破壊されるとあまりにも状況があまりにも悪くなるため、なるべく余裕を持って起動タイミングを遅らせましょう。アンタップ状態の《霊気池の驚異》にアーティファクト破壊を唱えてくる相手はそうそういないため、相手の土地を常に立たせることができます。ロングゲームになった場合有利になるのは基本的にこちらなので、余裕があるならばじっくり固めていくことが大事です。
後者は純粋に起動した際の当たり枚数を増やすための工夫があります。相手のアクションに対応して起動することによってカウンターが当たりになると同時に、相手はマナを使っているため《霊気池の驚異》がそのターンに破壊される可能性も下がります。
《霊気池の驚異》の起動タイミングはとても難しいです。
とにかく練習量と思考が物を言うため、試合後の反省は必ず行うようにしましょう。
6.サイドチェンジ
具体的なサイドの前に、大きく4タイプに分けて組細工のサイドアウトの仕方を述べます。
・対赤や緑のアグロデッキ、コンボデッキ
out なし
ゲームレンジを長く取るよりも直線的にコンボを狙うべし。
・対《呪文捕らえ》などの青アグロ
out 霊気池2 組細工2
相手のアクション次第では当然霊気池を通しに行きますが、手札に霊気池しか取れる行動が無い、という状況は相手のカウンターの的になるだけ。
霊気池を複数枚引かないために減らします。
また、霊気池が無い状況での組細工はライフこそ得られますが、カード枚数的に不利を作るため、こちらも同じく減らします。
青赤ハサミの《爆片破》など、どうしても警戒すべき火力がある場合などは組細工を残しても大丈夫です。
・対ミッドレンジ
out 霊気池1 組細工1
基本的にコンボとして振る舞うべきですが、相手の速度が遅い場合には、エネルギー無いのに霊気池・霊気池無いのに組細工などの弱い状況を作らないため、1枚ずつ減らします。
・対コントロール
out 霊気池1 組細工4
組細工はカードカウント的に損をするだけなので、全て抜きます。
エネルギーが不足するため、霊気池も2枚目を引きたくいので減らします。
調和や霊気拠点などで1回は起動出来ても、2回目の起動は難しいです。
以上の分類を前提にすると、応用が効きやすいはずです。
また、アーティファクトをサイドアウトすると昂揚のバランスが崩れるため、代わりのアーティファクトを入れたり他のカードタイプで補ったりしましょう。
・赤単系
in 否認2 ムラーサの胎動1 焼け付く双陽2 破滅の刻1
out ウルヴェンワルド横断2 発生の器1 ならず者2 エムラクール1
少し有利。
除去・組細工・霊気池が鍵。とにかく盤面を抑えつけて霊気池を着地させましょう。
《暴れ回るフェロキドン》《熱烈の神、ハゾレト》には要注意。
・青赤ウィザード
in ムラーサの胎動1 焼け付く双陽2 破滅の刻1
out エムラクール1 霊気池2 コジレックの帰還1
不利です。
軽い果敢クリーチャーと本体火力に加え、サイド後は軽いカウンターまで入って来ます。
果敢に左右されにくい蓄霊稲妻と、否認を潜り抜けられるイシュカナを本筋として勝負しましょう。
・青赤ハサミ
in 否認2 帰化1 ムラーサの胎動1 破滅の刻1 不屈の追跡者2 奔流の機械巨人1 世界を壊すもの1
out ウルヴェンワルド横断1 霊気池2 組細工2 ならず者2 エムラクール1 ウギン1
不利です。
《搭載歩行機械》+《爆片破》や《ダークスティールの城塞》+《アーティファクトの魂込め》がただでさえどうしようもないのに、サイド後カウンターまで増えるとわりとどうしようもないです。
霊気池は通らないものと割り切って、何とかイシュカナで盤面を止め、その上で改めてフィニッシャーを通すべし。
どうしてもこのデッキに勝ちたいのならば《つむじ風の巨匠》を入れましょう。相性が改善します。
・ジェスカイウィンズ
in 不屈の追跡者2 奔流の機械巨人1 否認2 ムラーサの胎動1 破滅の刻1
out コジレックの帰還1 ならず者1 エムラクール1 霊気池2 組細工2
有利です。
《呪文捕らえ》と《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》には細心の注意を払う必要があります。
しかしこちらがイシュカナを着地させた瞬間にほぼゲームケット。悠々とエムラクールを目指しましょう。
サイド後はイシュカナをカウンター出来るカードが大量に入って来ます。
その分丁寧に序盤を捌くのが大切。ライフを高水準に保ちつつ、マナを伸ばしてアクション数を増やすのが勝利への道。
・UBxコントロール
in 否認2 軽蔑1 帰化1 ムラーサ1 不屈の追跡者3 奔流の機械巨人1 世界を壊すもの1 ウラモグ1 没収の曲杖1
out 蓄霊稲妻? 削剥? コジレックの帰還2 発生の器1 組細工4 霊気池1 イシュカナ1 ウギン1
蓄霊と削剥は相手に合わせて枚数が変化。
有利……でした。
今はエスパー相手だと、テフェリーだけで相性が五分近くまで改善されました。
以前は1枚目のエムラクールで手札を破壊し、2枚目を通すと除去出来るカードが無いため勝利。……だったのですが、テフェリーさえあれば即座にライブラリへ帰されてしまいます。
サイド後はとにかくテフェリーをただ素通ししないことが大切。
トラッカーなどで打ち消しを吐き出させつつ、テフェリーを弾いて、あわよくばエムラクールの着地まで持っていきましょう。
グリクシスコントロールにはエムラ連打で大丈夫です。
・ミラー
in 否認2 軽蔑1 帰化1 不屈の追跡者3 奔流の機械巨人1 世界を壊すもの1 ウラモグ1
out 組細工3 蓄霊稲妻2 コジレックの帰還2 イシュカナ1 ウギン1 エムラ1
ミラーを決めるのは霊気池ではありません。仮に霊気池で決まったとしても、実際に勝ちを導いてくれるのはそこから出てくる大型エルドラージです。
つまりわざわざ不安定な霊気池を出さずとも、手札から大型エルドラージを唱えれば勝てるという事です。
ウラモグはエムラを対処出来ますが、エムラはウラモグを対処できません。そしてウラモグを先に出せば、相手は土地が減ってウラモグを出せません。つまりミラーの終着点はウラモグ。
ですからその前にエムラでリソースを削ったり、世界を壊すものでランドを削ったりすれば先にウラモグを出して勝てます。
更に言うと、そこまで安定してリソースを伸ばすにはトラッカーでカードを引く必要があります。
結論、ミラーはトラッカーでたくさんカードを引いた方が勝ちます。
7.後書き
ショックランドによってフロンティアのモダン化が進む、という意見もありますが、私は間違っていると思います。
現状のモダンメタゲームにはもちろんショックランドをふんだんに使っているデッキもあります。けれどもそれ以上に、長い歴史で蓄積された特殊土地を使うデッキが存在するのです。
今までのフロンティアには友好色のフェッチ・バトランしか無く、ハッキリ言って色毎に格差がある状態だと感じていました。
しかし十種類のショックランドが揃えば、その差は大きく埋まることになる。
そして、フロンティアは多色だけの環境ではありません。決して軽くないペイライフを要求するショックランドに対して、赤単などのアグロデッキは勢力を伸ばすでしょう。
モダンとは異なる歴史を積み重ねていくであろう、フロンティア。
ティムール霊気池というデッキには、もちろん神の座に導いてくれたのもあって、強い思い入れがあるんです。
その気持ちを記録に残したくて、こうして筆を動かしました。
新環境にも間違いなく霊気池の席はあります。
新たに生まれ変わったデッキを手に取る時は、近い。
ここまでお読みくださった皆様。
改めて、デッキの製作・シェア・記事の執筆協力をしてくれた友人にも。
本当にありがとうございます。
今回は第11期フロンティア神挑戦者決定戦で優勝した「ティムール霊気池」について解説したいと思います。
先日「ラヴニカのギルド」からショックランド再録の報がもたらされ、フロンティア界隈に激震が走りました。
これは《密輸人の回転翼機》以来の衝撃で、新弾の発売に伴い、フロンティア環境は全くの白紙となるでしょう。
しかし、過去に活躍したデッキのコンセプトや戦略までもが無意味になってしまうわけではありません。
それを文章として残すために筆を取りました。
なお、本記事はデッキ製作者である友人に協力してもらっています。
この場を借りて感謝を。いつもありがとう。
これさえ読めば、あなたも霊気池マスター!
1.デッキコンセプト
当時トップメタであったジェスカイアグロと青黒コントロールに有利を付けるためのデッキで、前者には《墓後家蜘蛛、イシュカナ》、後者には《約束された終末、エムラクール》によって勝利します。
また、その他のデッキには《霊気池の驚異》が強く働きます。
フロンティアに多く存在する非青のアグロ・ミッドレンジ・コンボでは、4ターン目の《約束された終末、エムラクール》と《精霊龍、ウギン》の踏み倒しや、霊気池がもたらすアクション数・アドバンテージ量に対応できません。
トップメタからは対応されやすくあまり効果的でない《霊気池の驚異》ですが、相手は常にこちらの4マナアクションを警戒せねばならず、本命であるフィニッシャー素出しまでの時間を稼ぐことが出来るのです。
それではデッキリストを掲載してから、採用カードやマリガンについて話していきます。
2.デッキリスト
ティムール霊気池
21 土地
3 森
1 山
1 島
1 燃えがらの林間地
4 樹木茂る山麓
2 シヴの浅瀬
4 植物の聖域
4 霊気拠点
1 見捨てられた神々の神殿
10 クリーチャー
4 ならず者の精製屋
3 墓後家蜘蛛、イシュカナ
3 約束された終末、エムラクール
29 スペル
2 ウルヴェンワルド横断
4 霊気との調和
4 発生の器
2 アズカンタの探索
4 蓄冷稲妻
2 削剥
2 コジレックの帰還
4 織木師の組細工
4 霊気池の驚異
1 精霊龍、ウギン
サイド
3 不屈の追跡者
1 奔流の機械巨人
1 世界を壊すもの
1 絶え間無い飢餓、ウラモグ
1 帰化
2 否認
1 軽蔑的な一撃
1 ムラーサの胎動
2 焼け付く双陽
1 破滅の刻
1 没収の曲杖
2-1.採用カードについて
・メインボード編
《霊気との調和》《ならず者の精製屋》
エネルギー供給の根幹を担うスタン禁止カード。
手札を消費することなくエネルギーを蓄える霊気池の土台であり、これら無しに《霊気拠点》や《蓄霊稲妻》を運用するのは難しいでしょう。
ならず者はキープ基準でもあり、能動的アクションの基軸となってくれます。
《蓄霊稲妻》
赤い《破滅の刃》とは良く言ったもので、エネルギーを注げば巨大なクリーチャーにも対処出来ます。
小粒を対処する際に副産物としてエネルギーを産んだり、エネルギーが足りなければ3つ全てを供給に回すことも可能で、腐りにくく非常に強力なカード。
《厳粛》や《陽光浄化者》にとても弱いのはご愛嬌。
《削剥》
赤い《突然の衰微》。
フロンティアにおけるアグロのほぼ全てが使用していると言っても過言ではない《密輸人の回転翼機》を、隙なく叩き割る仕事人。
通常の3点火力としての前提を踏まえつつも、エンチャントに比べて強力な物が多いアーティファクト対策にもなるのは重要。
《織木師の組細工》
2マナ域かつ分割5マナで6エネルギー・6ライフを生み出す優秀なライフゲイン。
ただし、その他のエネルギー供給源と違って手札を消費しているため、霊気池に繋がらないと枚数差で押されがち。
メイン戦のブン回りや対アグロで重要な役割を担う、キープ基準のカード。
《霊気池の驚異》
一枚コンボかつ、アドバンテージ源かつ、フィニッシャーである驚異的なカード。
仮に4ターン目に着地したとしても、即起動するかどうかの選択肢は複雑。
昂揚していない場合はイシュカナが当たりではなくなってしまうため、相手の速度次第では1ターン待って、昂揚してから起動するのが定石。
自分メイン・相手コンバット・相手エンドと三種類の起動タイミングがあり、イシュカナ・エムラクール・ウギン・除去など、様々な可能性と裏目が存在する。扱いが非常に難しい。
《発生の器》
昂揚を一手に担う、強力な墓地肥やし。
パーマネントなら何でも手札に加えられるため、キャントリップにしては少々重めの分割3マナも許容範囲。
自身がエンチャントであるのも手伝って、起動すれば概ね昂揚します。
その真価はアズカンタの探索と組み合わせたときに発揮され、4ターン目アズカンタ変身からイシュカナを着地させる動きには脱帽。
《アズカンタの探索》
何故か青い《不屈の自然》。
フロンティアにはそもそもランパンが存在しないという前提があるわけですが、それにしたって表面で昂揚に貢献しつつ裏面でアド稼ぐわマナ出すわ。伝説だからなのかやりたい放題。
このデッキでは起動型能力よりも1マナ加速することが非常に重要で、変身すればイシュカナ・エムラクールを1ターン速く叩きつけることが出来ます。
もちろん能力が弱いわけではなく、霊気池・組細工を手札に加えては投げることでアドとライフは無尽蔵。普通に除去を探したり、ウルヴェンワルド横断や発生の器からフィニッシャーサーチまでこなす。
アグロ相手に4マナ起動は重いですが、中速〜低速相手なら頼れる影のフィニッシャーですね。
《ウルヴェンワルド横断》
ソーサリーカウントを増やしつつ、マナスクリューとマナフラッドの両方を補います。
昂揚達成後は、神殿のサーチによるマナジャンプからフィニッシャーのサーチまで選択可能。
アズカンタの探索から発見することで、中継のような役割もこなします。
《墓後家蜘蛛、イシュカナ》
フロンティア最強の盾。
『5マナ、タフ5、EtB能力を持つ』というのはフロンティアにおける強固な除去耐性です。
すなわちプッシュされず、火力で落ちず、反射されてもあまり困らないということ。
3/5到達+1/2到達3匹が並ぶ盤面制圧力は筆舌に尽し難く、7マナの起動型能力は意外と勝利に貢献します。
エムラクールとは互いに補い合う関係。
イシュカナだけでは盤面が膠着するだけで突破出来ない。エムラだけでは相手のクリーチャーを1体しか潰せない。
両者が揃ってこそ、相手の盤面を壊滅させる事が可能になるのです。
《コジレックの帰還》
墓地肥やしのお供に。
普通にキャストしてもまあまあですが、やはりその真価は墓地誘発に在り。
エムラクール着地即5点オールは盤面を完全に崩壊させます。とてもすごい。
誘発は任意で解決出来るのもあって、イシュカナが居て盤面が優勢なら温存も可能。文句ナシ。
《約束された終末、エムラクール》
フロンティア最強の矛。
このデッキにおいては概ね7マナ程度のため、7/13/13飛行・トランプル・プロテクション(インスタント)とかいう恵まれたマナレシオで相手を撲殺してくれます。何故か相手の手札と盤面を蹂躙するオマケ付き。
フロンティアでは堅い除去耐性でブイブイ言わせてますが、基本的に終着点としてはエムラしか用意していないため、難しくとも着実に除去されると先細りは必至。
弱点はプレインズウォーカーです。
コントロール奪取中に処理することが出来ず、ターンが返って来た後も一体ずつ倒さなければいけません。
《試練に臨むギデオン》・《先駆ける者、ナヒリ》・《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》・《ドミナリアの英雄、テフェリー》などなど。
他にもエンチャ除去や布告、横並び補助系など、何だかんだで苦手とするカードは存在します。
とはいえ、それら全てを粉砕するのが4ターン目霊気池からのエムラクール。
6ターン目以降はいつ引いても良いように準備しておきましょう。
《精霊龍、ウギン》
エムラクールと対を成す全体除去的なプレインズウォーカー。
とはいえフロンティアでは8マナは重く、そこまで使いたいわけでもありません。
除去耐性に乏しくてカウンターに弱い。サイドアウトすることが非常に多いです。
一方でエムラクールの弱点である対PWは完璧と言ってもよく、霊気池の当たりとしては十二分の性能です。
無色のカードは吹き飛ばせないため、機体などには注意。
・サイドボード編
《不屈の追跡者》
フロンティアで一番カード引いてる男。最近テフェリーとかいうやべー奴も現れましたが、古参のこちらの方がまだ多いか。
トラッカーが強力な背景として、フロンティアのハンデスは《強迫》が最強です。カウンターは諸説ありますが、《中略》・《否認》・《軽蔑的な一撃》と《取り消し》上位互換シリーズでしょうか。
《本質の散乱》は弱いです。《密輸人の回転翼機》か《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を素通しした事があれば言いたいことが伝わるはず。
まあそもそもこちらが霊気池である以上、相手が構えたいのは《否認》や《軽蔑的な一撃》。
それらを回避しつつ、フェッチを置けばとりあえずカードを2枚引けるトラッカーは素晴らしいカードです。
そして彼の活躍は対青黒コンに限りません。
ハンデス飛んできそうだな、と思えば入れて良し。相手除去少ないな、と思えば入れて良し。ミラーなら入れて良し。
極端な話、トラッカーは生き残った瞬間ゲームが終わるんです。実質4キル。
コイツで攻めてイシュカナで守れば大抵の相手に勝てます。
他にも《反射魔道士》対策として《ならず者の精製屋》と多少入れ替えておくなんて手法も。反射による封印は、クリーチャーを散らすことで被害を軽減できます。
《奔流の機械巨人》
アーティファクトカウント。
詳しくは6.サイドチェンジの項で後述しますが、このデッキでは霊気池と組細工を頻繁にサイドアウトします。それでも昂揚を達成するためには追加のアーティファクトが必要になるのです。
単純にデカく、瞬速で隙が少なく、このデッキではディグ再利用ほどの活躍はしませんが、腐るほどでもなし。
《世界を壊すもの》
対特殊土地と《帰化》枠とコジリタ誘発枠を兼ねての採用。
青赤《アーティファクトの魂込め》デッキに対しては強力なフィニッシャー。
エムラクールと違って確定7マナのため、コジリタ誘発役と割り切ってのアグロ相手にも悪くはない。
コントロール相手に墓地回収能力を見込んでいたわりに、最近は概ね《ヴラスカの侮辱》で飛んでいくのが難点。
《絶え間ない飢餓、ウラモグ》
《名誉回復》2枚分の役割を背負うエルドラージ。
対PWは元より、ミラーにおいてエムラクールを対処可能なカードがエムラクールとこれしか存在しないというとんでもない話。
勿論ウラモグを何とか出来るカードはウラモグしかないので、出されると土地が減ってウラモグを出し返せず負ける。
《帰化》
フロンティアではエンチャントに触れず負けてしまうことも。
コントロール相手にもサイドインする。
《世界を壊すもの》より小回りが効くため、優先度はこちらの方が高い。
《否認》
青のユーティリティ枠。
《密輸人の回転翼機》やPWをカウンター出来ることもあって、アグロ相手にも非常に優秀。
対コントロールでも6マナから霊気池をネジ込んだり、トラッカーを除去から守ったり、至極真っ当に活躍してくれるでしょう。
《軽蔑的な一撃》
青のユーティリティ枠その2。
《否認》では対処出来ない大型クリーチャーをカウンターしてくれます。
コントロールの《奔流の機械巨人》、ミラーの《エムラクール》など。
このカードの素晴らしいところは、《否認》とカウンター出来る範囲が広く被っているところ。
重めのPWや《時を越えた探索》などもキチンと弾ける優秀さです。
《ムラーサの胎動》
緑色の《コラガンの命令》であり、5枚目の《織木師の組細工》でもある。
アグロにもコントロールにも安心の一枚。
《焼けつく双陽》
サイクリング付き全体3点火力。
マナベース的には《光輝の炎》の方が良いが、環境的には対《呪文捕らえ》の差でこちら。
果敢持ちや《暴れ回るフェロキドン》など、タフネス3を意識したいので、追加のコジリタよりは3点をサイドに取りたい。
《破滅の刻》
破壊不能クリーチャーとPW対策。
メインボードでは処理することのできない《熱烈の神、ハゾレト》や《ダークスティールの城塞》+《アーティファクトの魂込め》、《サヒーリ・ライ》+《守護フェリダー》を一枚で返すことができます。
《没収の曲杖》
汎用墓地対策。
ラリーや魂剥ぎなどの墓地コンボ系は苦手。
コントロールのジェイスや青巨人、探索なども牽制できます。
2-2.非採用カードについて
《つむじ風の巨匠》
《軍族童の突発》や《霊廟の放浪者》へのブロッカー、《アーティファクトの魂込め》や《熱烈の神、ハゾレト》へのチャンプブロッカーとして強力なカードですが、これらのカードを使用するデッキが少ないため不採用に。
《軽蔑的な一撃》に引っかかることのないメタカードなので、環境次第では採用します。
《ヴリンの神童、ジェイス》
対アグロ、対コントロールで優秀。
ですが枚数が必要で枠を圧迫するため不採用。
ティムールカラーではフラッシュバックするスペルに困るのもあります。
黒入り霊気池で《強迫》と共に使用するならよいでしょう。
《炎呼び、チャンドラ》
メインボードのPW枠兼、全体除去。
高い忠誠度と広い盤面干渉能力を持つウギンに対して、チャンドラはその軽さ・クロックの速さ・0能力・無色のトークンに対する耐性が魅力。
ミラーやコントロール相手に強いのも明らかにチャンドラなので、メタ次第ではウギンと入れ替えたり、両方採用することも可能です。
《自然に仕える者、ニッサ》
対ミッドレンジ、コントロールに強いPW。
5枚目の《ならず者の精製屋》枠ですが、アドバンテージ面で優秀。
サイドアウトしがちなウギンに代わるPW枠でもあります。コントロールに勝ちたい方は是非。
《引き裂く流弾》
対サヒーリフェリダーのピンポイントメタ。
一応《呪文捕らえ》にも使えますが、そもそもサヒーリコンボがあまりおらず抜けていきました。
《導路の召使い》
環境とデッキ両方にあっていないため不採用。
《致命的な一押し》・《乱撃斬》・《反射魔道士》でテンポを取られ、《僧院の速槍》をブロックできず、《コジレックの帰還》で巻き込まれていくなど採用するメリットがほぼありません。
そもそも3ターン目に霊気池を唱えたところでイシュカナは昂揚していませんし、エムラクールを手札から唱えるためのマナサポートは《アズカンタの探索》と《見捨てられた神々の神殿》で十分です。
2-3.昂揚について
デッキ内のカードタイプについて見てみます。
4フェッチ
10クリーチャー
8インスタント
6ソーサリー
8アーティファクト
6エンチャント
1プレインズウォーカー
土地については《発生の器》でカバー出来るので、器を起動すれば高い確率で昂揚達成するはず。
エムラクールも安定して7〜8マナでキャスト出来ます。
問題になるのはサイド後ですが、それについては後述。
2-4.マナベースについて
フェッチ+青緑ファスト+青赤ダメラン。
緑:霊気との調和、発生の器(ダブシン)
青:ならず者の精製屋、アズカンタの探索
赤:蓄霊稲妻、削剥、焼け付く双陽(ダブシン)
青マナ赤マナについては常に必要な訳ではなく、霊気拠点からの供給で賄う事も可能です。
しかし発生の器が緑ダブルシンボルを要求し、霊気との調和でマナベースを安定させるデッキである以上、緑16(霊気拠点含む)を下回るというのはお勧めしません。
以前は《シヴの浅瀬》を《尖塔断の運河》にしていましたが、4ターン目以降も出来るだけアンタップインしたい都合上こうなりました。
特殊土地枠である《見捨てられた神々の神殿》は必須。エムラクールやウギンをサポートし、アズカンタ含みのダブルアクションなど様々な局面で貢献します。
次環境では《樹木茂る山麓》から《蒸気孔》を持ってこれるため、更なるマナベースの強化が見込まれています。
3.マリガン基準
シナジーを重視したデッキのため、カードの組み合わせでキープする事が多いです。
とはいえ長期戦を目指すというコンセプトから、マナカーブさえ出来上がっていれば何でもキープ出来るというのも事実。
というわけで、基本的にはスクリュー・フラッドを避けつつきちんとアクションが取れるかどうかで判断しましょう。コンボデッキのように見えて、普通のミッドレンジとあまり差は無いです。
・エネルギーをある程度用意して霊気池に繋げられるか
・そこそこのアクションを取りつつイシュカナに繋げられるか
初手からどちらかの戦略を構想出来るなら、キープに値すると思います。
エムラクールやウギンなどの大型が初手にある場合はワンマリガン相当なので、他の手札で十分マナカーブが整っているなどの理由が無ければマリガンしても大丈夫です。
私はそこまで厳しくマリガンする必要は無いと考えていますが、時には重量級の手札をマリガンする事もあるでしょう。
そんな時はダブマリからでも組細工・霊気池・土地3あれば勝てる、と思えば気が楽になるはず。
絶対キープ
・発生の器(+アズカンタの探索orイシュカナ)
昂揚セット。最速4ターン目に5マナを用意する事も可能です。
・織木師の組細工(+霊気池の驚異)
4ターン目霊気池セット。
霊気池が手札にあっても4ターン目に回せるとは限りませんが、組細工があれば確実にエネルギー6個確保出来ます。つまりキープ基準にすべきは霊気池ではなく組細工ということ。
・ならず者の精製屋
単体でキープ可能。2マナアクションがあれば最高。
エネルギーを伸ばしつつ盤面を作れるので、3ターン目にこれを出せる手札は土地6とかでもなければマリガンしません。
・霊気池の脅威(+エネルギー供給源)
注意すべきは、霊気池しかないのにキープしないこと。
調和、蓄霊稲妻、ならず者、霊気拠点が2枚以上あることが大切です。組細工は6エネ出るので別の話ですが、蓄霊稲妻を3エネルギーとしてしっかり認識するのを忘れないようにしましょう。
4.序盤のアクションについて
「4、5ターン目にどういう着地点を目指すのか」よく考えながら序盤を動くべきです。
手札の中の選択肢から対戦相手毎に異なる正解を探すのは非常に難しいけれど、選んだアクションにデッキが応えてくれた時はとても嬉しくなります。
1ターン目
《発生の器》と《霊気との調和》の二択。
基本的には土地が足りていれば《発生の器》、土地が足りなさそうなら《霊気との調和》。
・《発生の器》を優先すべき時
土地が十分にある。
3ターン目のアクションが手札に無く、2ターン目に起動して《ならず者の精製屋》などを探したい。
《アズカンタの探索》がある。
緑ダブルシンボルが出なさそう。
2マナのアクションが《蓄霊稲妻》などのインスタントなので、器起動と両方構えたい。
・《霊気との調和》を優先すべき時
土地が足りない。
《発生の器》を3ターン目に設置しつつ、起動と2マナインスタントを構えたい。
2ターン目以降のマナカーブがしっかりしており、調和を撃つタイミングが無さそう。
《霊気池の驚異》がある。
2ターン目にソーサリーアクションをする予定がある。
2ターン目
《織木師の組細工》、《アズカンタの探索》、《削剥》や《蓄霊稲妻》、《発生の器》起動など。
最優先は《織木師の組細工》です。
2ターン目に置くことで3ターン目の選択肢を増やしつつ、トップの霊気池を受け入れられるようにするため。
アーティファクトを墓地に送る選択肢が生まれると昂揚も近づくので、基本的には置き得。
逆に組細工を置くべきでないパターンは、4ターン目に霊気池をキャストしても通らない、或いは霊気池の起動を急ぐ必要が無いマッチアップです。
《アズカンタの探索》を優先すべき対コントロール。
《削剥》を構えるべき対ジェスカイウィンズなど。
相手が赤単で手札に2マナのアクションが多くあったとしても、
2ターン目《織木師の組細工》
3ターン目《コジレックの帰還》と組細工起動の二択
4ターン目に《蓄霊稲妻》で盤面を返しつつ、残った2マナで《アズカンタの探索》や《発生の器》の能力で霊気池を探す
というような動きをした方がマナ効率は良かったりします。
アグロ相手に《削剥》を構えるのは問題ありませんが、《蓄霊稲妻》に関しては《密輸人の回転翼機》という最悪の裏目が存在することには注意。
3ターン目
ここからは加速度的に選択肢が増えます。
3マナ必要なものだけでも《ならず者の精製屋》、《コジレックの帰還》、《織木師の組細工》起動、《発生の器》設置から起動など。
それに加えて前述した1マナ+2マナのアクションが存在するため、とても網羅し切れる量ではなく、実践的には柔軟に対応しなければいけません。
どう動けば4ターン目、5ターン目に強い盤面を作れるのか、常に考えておきましょう。
《ならず者の精製屋》
最優秀安定択。
盤面に3/2を追加して、キャントリップでデッキを回転させ、エネルギーを供給。
どんな相手にも一定の効果を発揮するので、迷ったらこれ。場に組細工があったとしてもこちらを優先して大丈夫です。
5エネルギーあれば霊気拠点で6個に出来るので、そのまま霊気池に繋がるパターンが存在します。
《織木師の組細工》起動
これまた安定。
6エネルギーを確定させることで対戦相手に霊気池を強く意識させ、そのあと実際に霊気池を出したり実は持ってなかったりする選択肢。
起動のための3マナはそこそこ重いため、3ターン目などのタイミングで起動しておかないと流れで放置してしまうことも。
《コジレックの帰還》
このカードに限らず火力を構えるという行為全般に言えるのですが、序盤に自分の展開のためにマナを使わないのはそれなりのリスクがあります。
マナとカードをエネルギーに変換して霊気池からぶっ放すというコンボは、最速の4ターン目に行おうとすると、火力を撃つマナ的余裕はほとんどありません(霊気との調和や霊気拠点が複数あれば可能)。
軽い火力の温存は4〜5ターン目のダブルアクションにも寄与します。そのため優先度が低くなりがちですが、このカードには若干特殊な事情も。
それは墓地誘発。
大型エルドラージとともに全体5点の火力をバラ撒くにはこのカードが墓地になければならないので、手札にあった場合はどこかで唱えておかなければいけません。
そういった事情も鑑みて優先順位を決める必要があります。
火力を構える行為の例外は《蓄霊稲妻》。
除去とエネルギーの供給を選べるこのカードなら、「次のターンに霊気池が出てきても起動出来ないから展開を優先しよう」と思った相手に突然の3エネルギーから霊気池をお見舞出来ます。覚えておいて損はないです。
5.Tips
・フェッチランド
序盤からガンガン切るべし。基本土地が枯れてることがあるため。
霊気池下では1エネルギーになることに注意。
サイド後は、昂揚やトラッカーの都合と相談して。
・《霊気拠点》
色マナの都合で後から置くこともあるはずですが、最低限の緑マナだけ確保した状態から先置きすることで、4ターン目に6エネルギーを用意できるパターンがあります。
組細工3エネ・ならず者2エネ・霊気拠点1エネから6エネルギー霊気池のパターンは頻出事態なので意識しておきましょう。
・《ウルヴェンワルド横断》
出来るだけ昂揚してからクリーチャーサーチで使うべし。
後半、見捨てられた神々の神殿を持ってくると1マナ増える。
・《発生の器》
出して即起動するには緑ダブルシンボルを要求してくる。
霊気池下では1エネルギーに。
起動タイミングは手札やアズカンタ、イシュカナと相談して。
・《アズカンタの探索》
表の時は、昂揚を意識してガンガン墓地に送りましょう。
フェッチランドや発生の器を駆使してなるべく最速の反転を狙うべし。4ターン目イシュカナなどのブン回りが存在します。
裏面、残ったマナでアクション出来るならメイン起動もアリ。
・《蓄霊稲妻》
使用するエネルギーを決めるのは効果解決時。
3エネルギーを供給するカードにもなることを忘れないように。
・《墓後家蜘蛛、イシュカナ》
7マナでライフルーズさせる効果は霊気拠点があれば起動出来るため、忘れないように。
・《霊気池の驚異》
6エネルギーが無い場合には、基本的に唱えてはいけません。例外は青黒コントロールがフルタップしている場合くらいです。
起動フェイズについて。
《約束された終末、エムラクール》の能力か、《精霊龍、ウギン》の-Xでなければ勝つことができない場合以外は相手ターンに。その上で、対アグロならコンバット時、対コントロールならエンド時が基本です。
対アグロはダメージを可能な限り減らすため。
対コントロールはこちらのターンになる前にマナを寝かせられるかもしれないため。
余裕があるときやサイド後は、起動した後の状況や当たりの枚数などを考えて起動しなければいけません。
わかりやすい例としては、こちらの手札が強くない場合と、カウンターが自分のデッキに入っている場合の二つです。
前者は外した後に《霊気池の驚異》を破壊されるとあまりにも状況があまりにも悪くなるため、なるべく余裕を持って起動タイミングを遅らせましょう。アンタップ状態の《霊気池の驚異》にアーティファクト破壊を唱えてくる相手はそうそういないため、相手の土地を常に立たせることができます。ロングゲームになった場合有利になるのは基本的にこちらなので、余裕があるならばじっくり固めていくことが大事です。
後者は純粋に起動した際の当たり枚数を増やすための工夫があります。相手のアクションに対応して起動することによってカウンターが当たりになると同時に、相手はマナを使っているため《霊気池の驚異》がそのターンに破壊される可能性も下がります。
《霊気池の驚異》の起動タイミングはとても難しいです。
とにかく練習量と思考が物を言うため、試合後の反省は必ず行うようにしましょう。
6.サイドチェンジ
具体的なサイドの前に、大きく4タイプに分けて組細工のサイドアウトの仕方を述べます。
・対赤や緑のアグロデッキ、コンボデッキ
out なし
ゲームレンジを長く取るよりも直線的にコンボを狙うべし。
・対《呪文捕らえ》などの青アグロ
out 霊気池2 組細工2
相手のアクション次第では当然霊気池を通しに行きますが、手札に霊気池しか取れる行動が無い、という状況は相手のカウンターの的になるだけ。
霊気池を複数枚引かないために減らします。
また、霊気池が無い状況での組細工はライフこそ得られますが、カード枚数的に不利を作るため、こちらも同じく減らします。
青赤ハサミの《爆片破》など、どうしても警戒すべき火力がある場合などは組細工を残しても大丈夫です。
・対ミッドレンジ
out 霊気池1 組細工1
基本的にコンボとして振る舞うべきですが、相手の速度が遅い場合には、エネルギー無いのに霊気池・霊気池無いのに組細工などの弱い状況を作らないため、1枚ずつ減らします。
・対コントロール
out 霊気池1 組細工4
組細工はカードカウント的に損をするだけなので、全て抜きます。
エネルギーが不足するため、霊気池も2枚目を引きたくいので減らします。
調和や霊気拠点などで1回は起動出来ても、2回目の起動は難しいです。
以上の分類を前提にすると、応用が効きやすいはずです。
また、アーティファクトをサイドアウトすると昂揚のバランスが崩れるため、代わりのアーティファクトを入れたり他のカードタイプで補ったりしましょう。
・赤単系
in 否認2 ムラーサの胎動1 焼け付く双陽2 破滅の刻1
out ウルヴェンワルド横断2 発生の器1 ならず者2 エムラクール1
少し有利。
除去・組細工・霊気池が鍵。とにかく盤面を抑えつけて霊気池を着地させましょう。
《暴れ回るフェロキドン》《熱烈の神、ハゾレト》には要注意。
・青赤ウィザード
in ムラーサの胎動1 焼け付く双陽2 破滅の刻1
out エムラクール1 霊気池2 コジレックの帰還1
不利です。
軽い果敢クリーチャーと本体火力に加え、サイド後は軽いカウンターまで入って来ます。
果敢に左右されにくい蓄霊稲妻と、否認を潜り抜けられるイシュカナを本筋として勝負しましょう。
・青赤ハサミ
in 否認2 帰化1 ムラーサの胎動1 破滅の刻1 不屈の追跡者2 奔流の機械巨人1 世界を壊すもの1
out ウルヴェンワルド横断1 霊気池2 組細工2 ならず者2 エムラクール1 ウギン1
不利です。
《搭載歩行機械》+《爆片破》や《ダークスティールの城塞》+《アーティファクトの魂込め》がただでさえどうしようもないのに、サイド後カウンターまで増えるとわりとどうしようもないです。
霊気池は通らないものと割り切って、何とかイシュカナで盤面を止め、その上で改めてフィニッシャーを通すべし。
どうしてもこのデッキに勝ちたいのならば《つむじ風の巨匠》を入れましょう。相性が改善します。
・ジェスカイウィンズ
in 不屈の追跡者2 奔流の機械巨人1 否認2 ムラーサの胎動1 破滅の刻1
out コジレックの帰還1 ならず者1 エムラクール1 霊気池2 組細工2
有利です。
《呪文捕らえ》と《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》には細心の注意を払う必要があります。
しかしこちらがイシュカナを着地させた瞬間にほぼゲームケット。悠々とエムラクールを目指しましょう。
サイド後はイシュカナをカウンター出来るカードが大量に入って来ます。
その分丁寧に序盤を捌くのが大切。ライフを高水準に保ちつつ、マナを伸ばしてアクション数を増やすのが勝利への道。
・UBxコントロール
in 否認2 軽蔑1 帰化1 ムラーサ1 不屈の追跡者3 奔流の機械巨人1 世界を壊すもの1 ウラモグ1 没収の曲杖1
out 蓄霊稲妻? 削剥? コジレックの帰還2 発生の器1 組細工4 霊気池1 イシュカナ1 ウギン1
蓄霊と削剥は相手に合わせて枚数が変化。
有利……でした。
今はエスパー相手だと、テフェリーだけで相性が五分近くまで改善されました。
以前は1枚目のエムラクールで手札を破壊し、2枚目を通すと除去出来るカードが無いため勝利。……だったのですが、テフェリーさえあれば即座にライブラリへ帰されてしまいます。
サイド後はとにかくテフェリーをただ素通ししないことが大切。
トラッカーなどで打ち消しを吐き出させつつ、テフェリーを弾いて、あわよくばエムラクールの着地まで持っていきましょう。
グリクシスコントロールにはエムラ連打で大丈夫です。
・ミラー
in 否認2 軽蔑1 帰化1 不屈の追跡者3 奔流の機械巨人1 世界を壊すもの1 ウラモグ1
out 組細工3 蓄霊稲妻2 コジレックの帰還2 イシュカナ1 ウギン1 エムラ1
ミラーを決めるのは霊気池ではありません。仮に霊気池で決まったとしても、実際に勝ちを導いてくれるのはそこから出てくる大型エルドラージです。
つまりわざわざ不安定な霊気池を出さずとも、手札から大型エルドラージを唱えれば勝てるという事です。
ウラモグはエムラを対処出来ますが、エムラはウラモグを対処できません。そしてウラモグを先に出せば、相手は土地が減ってウラモグを出せません。つまりミラーの終着点はウラモグ。
ですからその前にエムラでリソースを削ったり、世界を壊すものでランドを削ったりすれば先にウラモグを出して勝てます。
更に言うと、そこまで安定してリソースを伸ばすにはトラッカーでカードを引く必要があります。
結論、ミラーはトラッカーでたくさんカードを引いた方が勝ちます。
7.後書き
ショックランドによってフロンティアのモダン化が進む、という意見もありますが、私は間違っていると思います。
現状のモダンメタゲームにはもちろんショックランドをふんだんに使っているデッキもあります。けれどもそれ以上に、長い歴史で蓄積された特殊土地を使うデッキが存在するのです。
今までのフロンティアには友好色のフェッチ・バトランしか無く、ハッキリ言って色毎に格差がある状態だと感じていました。
しかし十種類のショックランドが揃えば、その差は大きく埋まることになる。
そして、フロンティアは多色だけの環境ではありません。決して軽くないペイライフを要求するショックランドに対して、赤単などのアグロデッキは勢力を伸ばすでしょう。
モダンとは異なる歴史を積み重ねていくであろう、フロンティア。
ティムール霊気池というデッキには、もちろん神の座に導いてくれたのもあって、強い思い入れがあるんです。
その気持ちを記録に残したくて、こうして筆を動かしました。
新環境にも間違いなく霊気池の席はあります。
新たに生まれ変わったデッキを手に取る時は、近い。
ここまでお読みくださった皆様。
改めて、デッキの製作・シェア・記事の執筆協力をしてくれた友人にも。
本当にありがとうございます。
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